寒い。誰にでもいいから触れられたい。不安は恐怖になる。泣いても喚いても誰もこない。誰も側にいない。一人で、この恐怖に打ち勝たねばならないことだけがわかる。だからといって私は無力だった。どうすることもできない。そんな夜が週に一度はあった。これから先も、一人で生きていくのだろうとはぼんやりと思っていた。二十台でごく普通にいくつかの恋愛をし、ごく普通のそのうちの一人と結婚して家庭を持つ、という道を歩み損ねたのだから。機会はあった。そうしていれば、いまごろどうなっていただろうかと思うことがある。そうしていれば、こんな夜を迎えずにすんだのではないか。もちろん別の悩みを抱えていたにしても、こんな恐怖に見舞われる夜はなかったのではないか。彼がいないから夜が怖いのじゃない。存在の欠落感そのものが怖いのだ。ほんの数年前までは思ってもみなかった。一人でいることの不安に慄くときがくるなんて、想像したこともなかった。傲慢だったのだろう。これから一体どのくらい長いあいだ、この欠落感に耐えていくのだろうと思うと、怖くてたまらない。来年の三月には四十になる。こんな年まで一人でいることを想像したことはなかった。これから私は老いていく。見向きもされなくなっていく。この不安をどうすれば解消できるのか、わからない。
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