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心のかけら
心のかけら
  • 出版日 - 2005-05
  • 出版社 - 角川春樹事務所
  • 著者 - 広谷 鏡子
  • 形式 - 単行本


痛い痛い痛い。

寒い。誰にでもいいから触れられたい。
不安は恐怖になる。泣いても喚いても誰もこない。誰も側にいない。
一人で、この恐怖に打ち勝たねばならないことだけがわかる。
だからといって私は無力だった。どうすることもできない。
そんな夜が週に一度はあった。

これから先も、一人で生きていくのだろうとはぼんやりと思っていた。
二十台でごく普通にいくつかの恋愛をし、
ごく普通のそのうちの一人と結婚して家庭を持つ、という道を歩み損ねたのだから。
機会はあった。
そうしていれば、いまごろどうなっていただろうかと思うことがある。
そうしていれば、こんな夜を迎えずにすんだのではないか。
もちろん別の悩みを抱えていたにしても、こんな恐怖に見舞われる夜はなかったのではないか。

彼がいないから夜が怖いのじゃない。
存在の欠落感そのものが怖いのだ。

ほんの数年前までは思ってもみなかった。

一人でいることの不安に慄くときがくるなんて、想像したこともなかった。
傲慢だったのだろう。
これから一体どのくらい長いあいだ、この欠落感に耐えていくのだろうと思うと、
怖くてたまらない。

来年の三月には四十になる。
こんな年まで一人でいることを想像したことはなかった。
これから私は老いていく。見向きもされなくなっていく。
この不安をどうすれば解消できるのか、わからない。
2011/02/07(月) 16:51 読んだ本 permalink COM(0)
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